歯を失った時に一般的に昔からよく知られている治療法は入れ歯やブリッジですが、実際に使ってみると、入れ歯が合わない、ブリッジで歯を削るのが心配と感じるかたも少なくありません。
そんなときに選択肢となるのが「インプラント治療」です。
ここでは、入れ歯、ブリッジ、インプラントを比較しながら、インプラントのメリットとデメリットについて解説します。
目次
■入れ歯の特徴と課題
取り外しができる補綴装置
入れ歯は、人工歯とピンク色の床(しょう)で構成された補綴装置で、ご存知のかたも多いと思います。
部分入れ歯は、残っている歯にバネをかけて固定し、総入れ歯は歯肉全体で支える仕組みです。保険診療でも作製できるものがあるため、費用を抑えやすく、治療期間も短い点が特徴です。
噛みにくさや違和感がでる場合も
入れ歯は噛む力が天然歯の3割程度ともと言われており、硬い食べ物噛みにくい、食べずらい、ずれるといったお悩みを抱えているかたも多いです。
装着時の違和感や発音のしづらさ、バネが見えることによる審美面での不安も少なくありません。さらに、支えとなる歯や歯肉に負担がかかるため、残っている歯の寿命を縮めてしまうリスクがあります。
■ブリッジの特徴と課題
両隣の歯を削って支える治療
ブリッジは、欠損した部分の両隣の歯を削り、橋渡しのように人工歯をかぶせる治療方法です。
固定式で外れる心配がなく、比較的良好な見た目と安定感を得られるのがメリットです。
治療期間も比較的短く、保険適用となる場合もあります。
両隣の歯への負担が大きい
しかし、ブリッジは両隣の歯を大きく削らなければならないのが最大のデメリット。
削られた歯に負担がかかり、将来的にむし歯や歯周病のリスクが高くなります。
また、人工歯の下は清掃が難しく、歯垢(プラーク)が溜まりやすいため、口腔環境の悪化につながる恐れもあります。
さらに、欠損部分はブリッジによって噛む刺激を受けないため、骨が痩せていく可能性がある点にも注意が必要です。
■インプラントの特徴とメリット
顎の骨に人工歯根を埋め込む治療
インプラントはチタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯を装着する治療法です。
入れ歯やブリッジのように他の歯に負担をかけず、独立して治療、機能するのが大きな特徴です。
天然歯に近い噛み心地と見た目
インプラントは、埋め入れたインプラント体がしっかりと顎の骨と結合するため、ずれたりする心配がありません。噛む力を天然歯に近いレベルまで回復させることができるため、硬い食べ物も安心して噛めるようになります。見た目も自分の歯に近く、審美性に優れています。
また、周囲の歯を削るといった処置が必要ないため、健康な歯を傷つけずに済む点も大きなメリットです。しっかり噛めることで顎の骨に力が伝わり、骨が痩せにくく、長期的に安定しやすいという特徴もあります。
■インプラントのデメリットと注意点
手術と治療期間が必要
インプラントは外科手術を伴う治療であるため、全身疾患があるかたや骨量が少ないかたは、より注意が必要になったり、追加の処置を行う場合があります。
また、骨と人工歯根となるインプラントが結合するまでに数ヵ月かかるため、治療全体の期間は入れ歯やブリッジより長くなります。
費用が高額になる場合がある
インプラントは、基本的に自由診療となるため費用は1本あたり40万円前後が相場です。
複数本の場合はさらに高額になりますが、長期的な視点で見ると、コストに対するメリットは十分に期待できます。
【インプラント・ブリッジ・入れ歯|自分に合った治療法を】
入れ歯は短期間で費用も抑えられるメリットがありますが、噛みにくさや見た目に課題があります。ブリッジは固定式で安定しやすい一方、両隣の歯に負担がかかることが大きなデメリットです。
インプラントは外科的処置や費用の面で負担がありますが、天然歯に近い機能性と審美性を兼ね備え、長期的に安定して使える治療法です。コラム内ではデメリットもご紹介しましたが、これらをきちんと理解した上で治療を行うことが、後悔のない治療につながります。
入れ歯が合わずに悩んでいる方や、ブリッジで歯を削ることに抵抗がある方は、インプラントを検討することで満足度の高い結果が得られる可能性があります。
治療を選ぶ際には、それぞれの特徴を理解し、自分に合った方法を歯科医師と相談しながら決めていきましょう。